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色相、彩度、色合い、陰影、トーン

色は芸術の基本的な構成要素ですが、見た目以上に複雑な概念です。多くのアーティストは色の専門的な名称を理解していますが、より複雑なレベルで色の属性を定義する用語も数多くあります。色相(hue)、彩度(chroma)、色合い(tint)、陰影(shade)、トーン(tone)などです。

色相

色相とは、色の名称を指す言葉です。「色相」と「色」という言葉は基本的には同じ意味ですが、技術的には「色相」という言葉の方が正しいです。

英語では色相はヒューと言う名称になりますが、絵具の名称の後にヒューと言う名前がついている場合があります。デリバン・アーティストの中には、カドミウムイエロー・ヒューとコバルトブルー・ヒューの2種類がこのように呼ばれる色です。この場合のヒューの意味は、顔料に作られた色を混ぜてある事を示しています。例えば、コバルトブルーのアクリル絵の具は、コバルト顔料を混ぜて作られていますが、コバルトブルー・ヒューのアクリル絵の具は、コバルト顔料は含まれず、化学合成物質で作られた、コバルトブルーに非常によく似た色から出来ています。これは、ヒューと言う名前の付く絵具が、アクリル絵の具として劣っていると言う訳ではありません。自然の顔料自体が手に入りにくくなっている場合もありますし、製造会社が少しでも安く、品質の良い絵具の提供を考え開発される場合もあります。

彩度

彩度とは、色の飽和度のこと。色の彩度が高ければ高いほど、強度も高くなります。実際、「強度」という言葉は、「彩度」という言葉に置き換えられる言葉です。強烈な色の強さは、大胆で印象的なアート作品によく用いられます。


                                色合い、陰影、トーン

                                他にも色を表す言葉として、色合い(ティント)、トーン、陰影(シェード)がよく使われます。これらの言葉はすべて、元の色の性質を変えるために異なる色を加えた結果である。

                                色に白を混ぜて淡く薄い色になっていく事を明度が上がっていると言います。色に黒を混ぜて暗く深みのある色になる事は、明度が下がっていると言います。そして色にグレーを混ぜ、色の調子を変える事が色調と呼ばれる物です。 

                                これらの用語は、作りたい作品のムードや光の当たり具合、次元のコントロール等にとても役立つ物でアーティストに取って重要な用語です。多くのアーティストは、色のみを使ってそれぞれの効果を可能にしていると信じているかもしれませんが、そこには色調の効果がとても重要な役割を果たしています。幅の広い色調の対比を使って描かれた作品には、 たとえ、限られた色のみから作られた色を使ったとしても 深みや奥行き感が出ます。 

                                 

                                色調を変える時に、白や黒を混ぜて変える事も可能ですが、この際もとの色自体の色味を変えてしまう場合があります。例えば、ある茶系の色は白を混ぜてグレー系に変化したり、赤は白を混ぜる事でピンクに変化したりします。この事を念頭に置いて、マティスのアクリル絵の具には、多くの色調を変えるのに適した(混色に適した)色を揃えています。明るい色と暗い色のカテゴリーに分けて説明を下記に加えました: 

                                明るいトーン

                                アンティークホワイト、ナポリイエロー・ライト、オーストラリアン・サーモンガム(赤傾向の明度を高める色)、オーストラリアン・ブルーガム(青傾向の明度を高める色)

                                タイタニウムホワイトを使って明度を上げる代わりに、上の色を使う事で色の色調のコントロールが出来ます。 

                                暖かみのあるアンティークホワイトは、タイタニウムホワイトの代わりに使う事で、強い純白よりも落ち着いた色調に変えてくれます。アンティークホワイトは、クリーム色が少量混ざった様な落ち着いた色で、イエロー、オレンジやウォームレッド(暖色の赤)等に混ぜるのに効果があります。 

                                ナポリイエロー・ライトは、不透明で鮮やかなクリーム色で非常に用途の広い明度を上げる色になります。白を色に混ぜる事で元の色の強さを失う事がありますが、ナポリイエロー・ライトはオーカーやイエロー系、オレンジ系、イエローがかったレッド系の色の明度を上げる際に非常に役立ちます。スカーレットに混ぜるとサーモン系の色になり、肌色等に混ぜる際にとても使いやすい色です。さらに、青に混ぜる事で柔らかい緑系の色を作り出します。 

                                オーストラリアン・サーモンガムは、オーストラリアのサーモンガムと言う木の色からヒントを得た色です。オーストラリアン・サーモンガムの幹は、くすんだピンク色です。この色は不透明のパステル調で、ランドスケープ(風景画)等に適した色です。

                                オーストラリアン・ブルーガムは、淡い緑青系の色で、白にフタローブルー、ブラックを少し混ぜた様な色です。緑の多いランドスケープ(風景画)や空や海等の色調作りにとても役立つ色です。このユニークな色を使う事で、自然の様々な色を表す事を可能にします。


                                暗いトーン

                                マーズブラック、アイボリーブラック、カーボンブラック

                                この三色は全て黒ですが、混色を行う際にそれぞれの個性は明白になります。マーズブラックは、ウォームブラック(暖色の黒)で、少量の赤が混ざっています。この色は強い陰影を付けたり、不透明度を出す際に向いています。アイボリーブラックは、一番強い黒で不透明です。この色はクールブラック(寒色の黒)で、少量の青が混ざった様な黒になります。もしもどの黒を使ったらいいのかが分からない場合は、アイボリーブラックから試してみるのがいいかもしれません。この色はマーズブラックに比べると明度を下げる強さは軽くなります。

                                カーボンブラックは、一番ニュートラル(中立的)な黒です。しかし、不透明度はマーズブラックやアイボリーブラックに比べると低くなります。支配的な色を持たないため、透明色との混色に最適です。

                                混色の際に注意する事は、常に明るい色に暗い色を混ぜる事です。なぜなら、暗い色を少量混ぜて色味を変える事が出来るからです。反対に暗い色に明るい色を混ぜていくと、大量の明るい色を混ぜる結果になります。はじめは少量の色を混ぜる事から始めましょう。

                                さらに、透明色と不透明色を混ぜる際は、透明色に少量の不透明色を混ぜていく事をお勧めします。不透明色は非常に影響力の強い色だからです。

                                 

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