ひびの入った、又はひび焼きの仕上がりは、上に塗ったものにひび割れを起こさせ、下に塗った色味を割れ目から出す事です。
"クラックルアー" (古画の表面に細かい亀裂が走ること)とは、違う意味になります。水性の絵具で本物のクラックルアーを作る事は、今のところ一貫性に欠ける為可能とは言えません。
どのようなテクニックでも始めて試す場合は、事前にカードボードや予備の部分を使って、試す事をお勧めします。操作手順は比較的簡単ですが、下記の手引きの詳細の中には、注意が必要な部分も出てきます。
使用方法:
ステップ1
最初に塗る色は、ひびの割れ目から見える色になります。このはじめの色は水性のマティス・フローやマティスス・トラクチャー・フォーミュラをお使いください。広い面を塗る場合はマティス・バックグラウンド・カラーが最適です。この下塗りが完全に乾くまで待ってからステップ2に進みます。
下地の色味をひび割れの色味にしたい場合は、この行程は省略する事も可能です。クラッキングメディウムは、アクリル絵具が塗れる下地であるならば、どの様なものにも塗る事が出来ます。例えば、材木を下地として使う時、その木の質感をひび割れの下地にしたい場合は、ステップ1を省略してステップ2から始めてください。埃や油分は十分に拭き取っておいてください。
ステップ2
ステップ1が完全に乾燥できたら、デリバン・クラッキング・メディウム(水性) を塗ります。ブラシやスポンジ又は、ローラー(スポンジや刷毛の小さなローラーなど)を使って、たれ流れない程度に厚めに塗っていきます。クラッキングメディウムは、厚塗りように作られていますので粘度が高く作られています。さらに、乾くと平らになる様に作られていますので、重ね塗りはしないでください。
クラッキングメディウムを水で薄め、スプレーガンを使って広いエリアを塗る事も可能です。その際25%以上の水を混ぜないでください。さらにメディウムは1−2mmの厚さになる様に塗ってください。常に希釈度や扱う道具のテストを行ってから大きなプロジェクトに取り組んでください。
スプレーガンを使う場合は専用のマスクを付け、クラッキングメディウムを吸い込まない様に気を付けてください。
ステップ3
ここでトップコートの色を塗るのですが、ステップ2が乾いてから12時間以内に作 このトップコートにはマティス・バックグラウンドカラーを使ってください。クラッキング・メディウムは特別にマティス・バックグラウンドカラーを使う事で亀裂が現れる様に計算されて作られています。この特別なフォーミュラは、いろいろなタイプの亀裂を連続して作る事を可能にしています。マティスMM5マットメディウムを混ぜる事で、マティス・フローやマティス・ストラクチャーをこの最終の色として使う事が可能となります。(詳しくは下記に説明されています。)
トップコートを塗る際に、既に塗られてしまった箇所に塗り直し等を行わないでください。塗り直しを行う事で、クラッキングコートを浮かしてしまい行程が中断してしまいます。(詳しくは下記をご覧下さい。)
どうして亀裂が起こるの?
古くから使われている手法のアラビアゴムを使っての即乾による亀裂は、信頼度が低くなります。なぜなら、絵具に亀裂を走らせる為に、乾燥速度を変えるという方法を使っているからです。気温や環境、さらにはちょっとした間違いからも思う様に亀裂が働く事はありません。
マティスのクラッキングの行程では、トップコートのマティス・バックグラウンドカラーとクラッキングメディウムの反応によって出来る亀裂の為信頼度は高くなります。その反応は、トップコートのマティス・バックグラウンドカラーを塗る事で下に塗られたクラッキング・メディウムが、半流動上に戻り、そして縮む事によってトップコートを取り込み、亀裂を生じます。
トップコートを塗る際には、一度塗られた部分を塗らない様に気を付けながら、全体を均一に塗る事が重要です。絵具は亀裂を生じない様にデザインされています;そのためクラッキングメディウムが縮み、トップコートの絵具を取り込もうとする際に、トップコートの絵具は亀裂が走らない様に作用します。
その為、トップコートの厚さによって亀裂のサイズをコントールする事が出来ます。トップコートを厚塗りすれば、絵具は亀裂が走らない様に持ちこたえようとしますが、クラッキングメディウムが作用して亀裂は大きなものになります。これは、マティス・バックグラウンドカラーを厚く塗れば塗る程亀裂は大きくなっていくという事です。
その反対に、トップコートを薄く塗る事によって、クラッキングメディウムの作用に対する妨害が少なくなる為、亀裂は細かくなります。
色々なパターンを作る
トップコートをブラシで塗った場合、一方向にブラシを使って塗る事で、亀裂はブラシの方向へ走ります。いかに均一に塗り込んだとしても、実際にはブラシによるブラシ跡が波打つ事には変わりありません。しわはブラシと同じ一方向へ走ります。
先に説明しました様に、絵具は薄く塗られたところに細かい亀裂を走らせる様になります。その為、ブラシで塗った場合でも薄くなっている部分にしわがより、亀裂が走りやすい部分になるという事です。
海面を使ってトップコートを塗った場合、それは砂丘と同種の様な亀裂になり、丸みを帯びた無作為なパターンになります。
パターン作りの他の作用
亀裂の形は、どのようにトップコートを塗るかによって変わってきます。下地は亀裂のパッターンの影響を受けません。クラッキング・メディウムの塗り方も亀裂のパターンへの影響はありませんが、薄く塗り過ぎた場合はうまく作用しない事があります。
トップコートは、塗り方によって亀裂の作用への影響を施します。大きな亀裂を作るには、トップコートを厚く塗る事によって可能にしますが、厚塗りされた部分は平衡を保って乾かす様にしてください。絵具の流れを防ぐ為と、それによってクラッキング・メディウムまで重みで流れ落ちる可能性があります。
フレーム型や三次元の作品の場合のクラッキングの際、重力により下の方へ落ち込む事があります。これにより、鋭さや尖った効果を残す事があり、作品に作為的な味を残す事が出来ます。
もしもアーティストが、このような仕上がりを初めて行うのであれば、大きなプロジェクトを始める前に、カードボード等を使ってテストを行う事をお勧めします。
仕上げ
クラッキングには、ワニスをかける必要はありませんが、実用的なものや外での使用の際はワニスを塗る事をお勧めします。
クラッキング・メディウムはトップコートよりも光沢があります。ワニスによりこの差をなくす事も出来、水や損傷から守ります。
ワニスが必要な場合は、テレピン油系のワニスをお勧めします。MM14 ファイナルワニス・グロスフィニッシュ または、 MM15 ファイナルワニス・マットフィニッシュをお使いください。水性のワニスは絶対に使わないでください。
マティス・ストラクチャーとフローを使ってのクラッキング
先にも述べました様に、デリバン・クラッキング・メディウムは、マティス・バックグラウンドカラーをトップコートとして使う様にデザインされています。しかし、マティスフローやストラクチャーを使う事も、MM5 マット・メディウム を同量混ぜる事によってマティス・バックグラウンドカラーと同様の作用を与えます。絵具の結合力を緩めると同時に、MM5マットメディウムに入っている含有物が、クラッキングメディウムの働きを活性化します。
フォー・アンティーキング・ギルディング(擬似金箔古美術風)
古い亀裂の入った金箔のガクブチを作るのに、一つの方法として、ガクブチに金箔を張り200年程待つ事です。その他のもう少し早くこのような古美術的なフレームを作る方法は、それを装う事です。次にその方法を段階別に述べます。
ステップ1
ベースコートのマティス・バックグラウンドカラーを作品に塗ります。(よく扱われる色味は、チャイナレッド、バーガンディー、ペールベージュです。)
ステップ2
先の使用方法と同じく、クラッキングメディウムを塗り、乾くまで待ちます。
ステップ3
マティス・フローのメタリック・ライト・ゴールドとMM5マットメディウムを同量混ぜて、海綿又はブラシを使って垂直に軽くたたく様に塗っていきます。乾燥に48時間置きます。
ステップ4
布を MM20 ウォーターベース・パティナにつけて、マティス・フローのローアンバーを少しつけて表面を拭きます。ローアンバーは、割れ目などに残り、時間お経過を表現できます。(この方法は、アンティーキングをご覧ください。)
これで年代を得た金箔風のフレームが出来上がりました。少しの練習で本物に近く作る事が出来ます。例えば、金箔は通常5−10cmのサイズの為、重なり合う部分が二重になっています。ステップ3で金色を塗る際に5−10cm置きに厚めに塗る事で本物の金箔の様な質感が出てきます。
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